「雲英(きら)さん、ごめん。ヒメノ総合病院まで。なるべく早く頼む」
洛さんの仲間、雲英さん。
雲英さんの運転技術はピカイチだからすぐ着くはず。
そして碧ちゃんなら何とかしてくれる。
お願い、間に合って。
もう大切な人を失いたくない。
「希愛、着いた。俺も着いていく」
「うん、ごめん。助かる」
正直、冷静でいられない。
もう1人いた方が早く運べるし、雲英さんの方が要点しっかり碧ちゃんに説明できるだろう。
「っ希愛!どうしたその子!」
「碧喜さん、お久しぶりです。抗争中に腹部を撃たれました。応急処置はしましたが、出血が止まらない状態です。出来るだけすぐご対応をお願いします」
私の代わりに雲英さんが詳しく簡潔に説明してくれた。
「わかった。すぐ手術室へ運ぶ。お前らは座っとけ」
手術室の前にあるソファーに腰をかける。
雲英さんが私の不安を察知したかのように手を握ってくれた。
蒼空に致命傷を追わせてしまった。
私のせいだっ。
"守る"と言っておきながら、結局守れず、逆に私が守られてしまった。
あの場も朔たちに任せて、大切な人1人守れずになにが総長だ。
