もう当たる、と思い、反射的に目を瞑っていた。
「希愛っ!」
弾が当たるのを待っていたのに、それはいつまで経っても当たらなくて。
代わりに蒼空が私を覆うように抱きしめていた。
「そ、ら……?」
なにやら手に生ぬるい物を感じ、手を見つめる。
「血……?」
明らかに手には大量の血がベッタリとついていた。
それなのに私は痛くも痒くもない。
「蒼空っ!?」
新堂が数発撃ったうちの1発が蒼空の腹部に命中していた。
「の、あ……。よか、た…。おまえに、当たら、なくて…」
「喋るなっ!傷口がっ…」
「希愛、わら、え…。おれ、は、おま、えの、笑った顔、が好き、だ……」
「笑うからっ!だからもう喋るなっ!すぐ病院連れてくからなっ!!」
朔っ、朔!
頼む、どこにいるのっ。
「希愛、すまん、遅くなった。後は任せろ」
「悪い、あとは頼む。アイツ銃持ってるから、気をつけろ」
「任せろ、外に車手配してある。すぐ行け」
蒼空、お願い。死なないで。
まだ伝えてない言葉がたくさんあるよ。
弟さんに会わせてくれるんだよね?
この前の言いかけた言葉だって聞いてない。
好きって伝えれてないよ。
蒼空のおかげで笑顔になれたって、今の生きる理由は蒼空なんだって、
何ひとつ伝えれてないんだよっ…。
