「は、はい」
初めての電話だからか少し緊張する。
伝わりませんように。
「くくっ。こんばんは、水煉の総長さん?」
蒼空じゃない。
「……誰だ」
「わぁ、一気に殺気立ったね。電話越しでも伝わるなんてさすがだよ」
「戯れ言はいい。この携帯の主はどうした」
「くくくっ。えらく必死なんだね?今から彪雅(ひょうが)の倉庫においでよ。もちろん、1人でね」
プツ、ツーツー
どうなってる。
いや、考えてる暇なんてない。
蒼空の携帯がとられてるってことは拉致されてるってことだろう。
「悪い、今日は中止だ。野暮用ができた」
「何があった」
「前に話した蒼空が多分拉致られた。彪雅という族の倉庫に来いと言われた。行ってくる」
「彪雅…。銃などの武器を使う厄介な族だ。希愛、1人で行く気?」
情報収集に長けている夕紫が即座に調べてくれた。
さすが私の自慢の仲間。
やって欲しいと思った時にはすでにやってある。
「それなら余計1人で行かないとな。大丈夫、すぐケリつけてくる」
「いつでも出れるように、俺らは外で待機する。危ないと思ったらすぐ出るからな」
「ふふ、朔、ありがとう。みんな頼りにしてるよ」
みんなの出番がないことを祈る。
彪雅。
以前、苑さんから近々処理してもらうことになると言われていた族だ。
それも私と朔、そして苑さんも一緒に。
私と朔だけでは危ないかもしれないという、苑さんの指示だった。
それほどの相手なのだ、彪雅は。
