必ず守るから、だから、笑って



信頼出来る、自慢するメンバーだからけの水煉は正統派の族だ。



だけど、反対に薬をやっている族や、拳銃を使うなど、警察が暴走族の中でも最も捕まえたい卑怯な族が山ほどある。



水煉の中でも特に強く、この世界にいる経験が長い私と朔は、警察に手を貸していた。


もちろん水煉のメンバーはこのことを知っている。



悪い族を潰すのと引き換えに水煉が"走る"時に捕まえないというのが条件だ。




普通、警察が裏の世界の暴走族とそんな交渉をしてはいけないのだろうけど、

あちらも警察の中ではある意味裏の組織、公安警察からの要請の為、普通の警官はこのことを知らない。



そして先程、その公安警察から電話が入った。


任務内容は、巷でも悪い意味で有名なある族を朔と一緒に潰すこと。


「よう。キル」


「ブラッド。上からの指示は聞いたか?」



私のコードネームはキル。意味はそのまま。


朔はブラッド。


日本語に訳すと割りピンとも言われる。


割りピンの役割は、ナットなどが抜けないように止めること。


つまり、捕まれば逃げ場はないよ、という意味だ。



朔っぽいよね。



「聞いてるけど、細かいのはダメだ。やっぱ俺、頭使えねぇ」



「まぁいいよ。私が指示する」



「ん、頼む」




慢心してるわけでもないし、相手を舐めているわけでもないけど、私たちが組めばこんな弱い族を潰すのなんて一瞬だ。


お互い1人でも十分だけど、計画通りに行かないことだってあるし、念には念をってね。



数分で片をつけ、上に連絡する。



「キルだ。片付いたから後を頼む」


「了解。今日もお疲れ様」



労いの言葉をもらい、電話を切る。


警察といえば威張っている印象しかなかったけれど、この人たちは違った。



年下といえど、対等に扱ってくれるし、とても気遣ってくれているから信頼してる。