「……妃夢乃希愛」
「希愛、ね。俺のことは朔でいーから」
朔が手招きをしてきたから、それに従うと、階段に向かって歩きだした。
またそれに着いていく。
「ここは暴走族の水煉(すいれん)。洛さんは初代副総長だ。ちなみに俺は4代目幹部」
あの洛さんって人、副総長ってことは本当にお偉いさんだったのか……。
「そんでここが幹部以上しか入れない部屋。本当は希愛も入れないけど、今日は特別な」
階段を1番上まで行った先にあった1つの部屋。
「ようこそ、水煉へ」
朔はそう言いながら扉をあけてくれた。
その中は家の一室のような部屋だった。
中央にはソファが四角く配置されていたり、テレビがあったりと、部屋は小さいけれど、なぜだか温かさを感じた。
新しい世界に踏み出すように、1歩、部屋へ踏み入れた。
私が守るべき場所を見つけた瞬間だった。
