殴ったって、勝ち続けてたって、両親は帰ってくるはずもないのに、ただひたすら無意味な喧嘩を続けていた。 あの日も私はいつものパーカーのフードを深く被り、荒れ狂っていた。 「ふぅん。お前が"SG"?」 「……誰だ、お前」 「俺は希俐の仲間だ」 「パ、パの……」 「あーあ、こんなにまで殴っちゃって。お前希俐がいつも喧嘩する時に言う言葉知らねぇの?」 知ってる。よく知ってる。 喧嘩は誰かを守るためにするもの。 誰かを傷つけるためだけに拳を振らない。