だけど、多分、この人が1番強い。
恐らくどこかの暴走族かなにか。
それもトップクラスの。
絶対関わってはいけない、と緊張感が増す。
「3人はあの空いてる席なー」
関わってはいけないと言ったそばから、担任から爆弾発言が投下した。
…空いてる席って、この周りしかないよね?
ついてなさすぎる……。
「隣、よろしくなっ!えっと…」
「妃夢乃です。よろしくね」
にっこりと笑顔を貼り付けつつ、なんでよりによって、総長らしき奴が隣なんだと心の中で毒を吐く。
「あーっ!はーくんだけずるいっ!俺とも仲良くしてねぇっ!」
「うん、よろしくね」
なるべく関わりたくなくて、貼り付け笑顔を後ろに向けたあと、すぐ前を向く。
右隣の痛いくらいの視線が突き刺さっているけど気にしない。
「よろしくねぇ、"希愛ちゃん"」
……え?
私、名前教えた…?
ばっ、勢いよく後ろを振り向く。
相変わらずニコニコと人懐っこい笑顔を浮かべている輝望壱星。
「ふふふ、笑顔が崩れてるよぉ。そんなんじゃすぐに皆にバレちゃうよぉ?」
コソっと耳元で伝えてきた。
そして、咄嗟に距離をとる。
「あれぇ?警戒されてる?」
その笑顔はずっと絶やしてはいないけど、やっぱりこの人が1番頭が良く、それでいて1番性格が悪い。
