向こう側に行けば幸せなんだ。
みんなで笑い合って、平和に過ごせるんだ。
それなのにこの手をとらずにいられない。
たとえ、この夢が覚めることになったとしても。
私は無意識に右手を差し出していた。
握ったその手は心地よくて、それでいて安心する手だった。
自然と目を開いた、気がした。
そこには見慣れた天井。
辺りを見回せば見慣れた景色。
私の部屋だ。
そんな見慣れた景色の中でひとつだけ見慣れないもの。
それは私の右手を離さないままベッドに頭を突っ伏して寝てる晴葵の姿。
……なんで私の部屋に晴葵が??
あー、私家の前で気失ったんだった。
それを晴葵が見つけてくれたのかな。
……待って。
いつ見つけてくれたんだろう。
新堂に遭遇したところ見られてないよね?