「あー、と。晴葵が連れてきてくれたんだよね?ありがとう」
「ううん、それは全然大丈夫。それより希愛、熱あるみたいだよ」
なるほど。
どうりで頭がぼーっとするわけだ。
心做しか体もダルい。
「あら、妃夢乃さん目が覚めたのね。熱あるみたいだから親御さん呼ばせてもらってもいい?」
「あ、大丈夫です。家すぐそこなので」
嘘ではない。
家が近いのは本当だ。
親はいないけど。
「あら、そう?無理そうだったらタクシーでも呼ぶから言ってね」
頭を下げると先生は綺麗な笑顔を浮かべてカーテンの向こう側へと行ってしまった。
そして自分が濡れていないことに気付き、先生が保健室のジャージに着替えさせてくれたことを理解する。
病人の私に制服は苦しいからありがたかった。
「……あ、鞄持ってきてくれてありがとう。掃除も。任せちゃってごめんね」
「気にすんな。その代わり今日はゆっくり休めよ」
透理くんらしいぶっきらぼうな言い方だけどそこには優しさが含まれているのがわかる。
