…え?
なにこの状況。
なんでこんなに晴葵の顔が近くにあるの。
とても近いこの距離にだんだんと顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。
誰だって赤くになるに決まってるこんなの。
そんな私とは対照的に晴葵はムスッとした顔で私を見ていた。
「は、晴葵…?どうしたの、急に」
「だって希愛が笑うんだもん」
嫌な気分にさせちゃったのかな。
そうだよね、必死に謝ってる人に対して笑うなんて失礼だよね。
少ししょぼん、となっていると、晴葵は困ったように笑う。
「希愛、さっきから可愛いって周りから言われてるの気づいてないでしょ」
「それは晴葵が言われてるんでしょ?私可愛くないし」
そう言うと晴葵は呆れた顔を浮かべてしまった。
またなにか失礼なこと言っちゃったかな。
あ、そっか。
男の子が可愛いなんて言われてるって言われても嬉しくないよね。
「希愛の本当の笑顔は俺だけが知ってたかったのに」
なに、それ。
だって、そんなの、
「ヤキモチ、に聞こえちゃうよ……」
「ヤキモチだよ」
なにそれ、可愛い、って思っちゃうじゃん。
ドキドキしちゃうじゃん。
晴葵は、ズルい。
