「プロポーズ、うれしかった」
「うん」
私はベンチから海を見つめたまま話始めた。

海璃がまっすぐに私の方を見ていることを知りながら、海璃をまっすぐに見ることができないのは、泣きそうになるのをこらえきれなくなりそうだから。

「海璃と出会えて、付き合えて、本当に幸せだった。」
「・・・うん」
過去形にした言葉にも海璃は言い返さない。

私の話を聞こうとしてくれていることが分かる。

「でも、私は海璃とは結婚できません」
「・・・」
「ごめんなさい。」
私は海璃の方に頭を下げた。

海璃は私の方を見たまま何も言わない。