産後、帝王切開の傷が痛みなかなか動けなかった私にかわり、おっぱいをあげる以外はほとんどおむつも入浴もしてくれていた海璃。
私の体調が戻ってからも、夜泣きがひどくてなかなかまとまって眠れていない私の体を気遣って、家事全般を引き受けてくれていた。

家事のスキルが日に日に上がっている海璃。その効率や手際の良さに、私のスキルをすでに超えていると不安になるほどだった。

「俺の出番か」
「はい?」
変なことを言い出す海璃に私が思わず冷めた声をあげる。
「嘘だよ。のまないよ。」
「そうして」
「でもよく聞くだろ?おっぱい旦那が飲むって」
「やめて。気持ち悪いから。」
「気持ち悪いってひどいだろ」
赤ちゃんのためのおっぱいだ。今は私の物でも海璃のものでもない。
自分のおっぱいが赤ちゃんのための大切な”食事”と思うと、子供を産むまでの感覚とは変わっていた。