「いたた・・・」
「どれ?」
仕方なく海璃に胸を触らせると「岩だなこれは」と真剣な顔で行ってくる始末だ。

がちがちに張っている胸にこわごわと触れながらその神秘を体感しているような海璃に私は思わず笑ってしまった。

まだ生後一カ月の赤ちゃんはそんなにミルクを飲まない。
私のおっぱいが作り出す母乳分も飲まなくてもいい赤ちゃん。そして、おっぱいが張りだすタイミングと、お腹がすくタイミングもあわない。

「さっき寝たばっかりだもんな」
「うん・・・さっき全然飲んでくれなかったから。」
「だよなー、すぐ寝ちゃったしな」
「さすがに今日はお散歩したしね」
「あぁ」
海璃は赤ちゃんが生まれてから3か月間の育休を本当に取得してくれた。
仕事のタイミングもちょうどあって、一週間に数回、家からリモートで会議に参加したり、メールで資料を作成して送る程度の在宅ワークはしているが、子育てにも積極的に参加してくれていた。