「京香」
遠くで聞こえた海璃の声に、私は再び自分が寝ていたことに気が付いた。

「ごめん。また寝てた」
「いや。疲れてるか?体調悪いか?」
さすがに寝すぎている私に海璃は心配そうな目を向ける。
「大丈夫。ごめんね。」
私は海璃に手を借りて体を起こした。
海璃はダイニングテーブルに私が作っていた食事を並べて、部屋着に着替えも済ませていた。
「ごはん、食べられそうか?」
「うん。お腹すいた」
私がお腹がすいたというといつも海璃は嬉しそうだ。
がりがりに痩せていた私の体は病気をする前より少しやせている程度までもとに戻った。

病気で使っていた薬も今は何も飲んではいなくて、それもあってか食欲ももとに戻っている。

「よし。飯にするか。」
「うん」
海璃に手を引かれて私たちは食事が並んでいるテーブルの方へ向かった。