何年も海璃には家事の全般から私の世話まですべてやらせてしまった。
朝早くから、仕事から帰宅した夜まで。

あんな生活に戻らないように私自身も気をつけないとならない。

自分の体調に気をつけるのにはもう一つ理由があった。

半年前に海璃と一緒に、子供をもつことについて話し合ったからだ。

遺伝子治療で私の生理はとまっていたのに、治療を終えてからすぐに私は生理が戻っていた。
ということは妊娠することも可能なのか、希望を持った私。
でも、自分の体を再び危険にさらすことに対しては、不安も感じていた。
それ以上に、また海璃に不安な想いをさせてしまうことを考えると自分の思いだけでは突き進めないと思っていた。

海璃と一緒に婦人科を受診して、妊娠することが可能だとわかった時、海璃は妊娠も出産も、私の命を危険にさらすことは望まないときっぱり医師に言った。

海璃の気持ちを聞いた以上、私は海璃との子供をあきらめないとならないと思った。