俺はむなしく響き渡るその音に、小さくため息をつきそうになって、急いでノンアルコールのビールを口に運んでぐいっとのんだ。

いつ飲んでもうまくない。

本物とは全く違う・・・

でも、それでいい。

今頃、京香は一人病気と闘っている。

ビールがまずいくらいでなんだよ。一人の部屋がむなしいくらいなんだよ。
あいつはもっとつらいことに立ち向かってんだ。

いつだってあいつは強がりで、誰にも弱みを見せようとしない。
本当は心折れそうな時だって、やっと歩いているような時だって、あいつは表情にすら出さず、むしろにこにこしながらいつもと同じペースで歩こうとするんだ。

出会ったころから、俺はそんなあいつに心惹かれて仕方ない。

強がりなのに誰よりも情に厚いあいつを放っておけないくらい、いつの間にか惹かれて、俺が支えてやりたい。俺の前でだけは弱さを出してほしいって、願望のように思ってた。