私の職場はこうしていつも慌ただしい。
大手貿易会社の中でも私の勤務する部署は、中心のいわば司令塔のような役割の部署だった。

「竹内、貨物取れなかったんだって?」
「大丈夫。少し待機になるかもしれないけどなんとかする」
相手の顔を見なくても話しかけている人物が、同期入社で私と成績の1位2位を争う進藤海璃だとわかる。

手元の取引先リストを見ながら私は受話器を取る。

どうにかして貨物をとらなければ、到着した商品が止まってしまう。

私は片っ端から知っている取引先へ連絡を始めた。

こういう切羽詰まった状況が毎日何度もあるこの仕事。

でも私は運と人脈に助けられて、毎日何とか乗り切っている。

上司からの信頼も厚いと自負しているのは、目に見える成績が結果としてあるからだ。