「この手紙は私に何かあったら、この場所で読んでほしいの。」
「ばか」
海璃が複雑な表情をごまかすように景色のほうへ視線を向ける。
「海璃」
「なんだよ。もうその話は終わりだ。」
「だめ。・・・海璃。」
少しして、海璃は景色からもう一度私の方へ視線を戻した。

私と海璃の間に、止まっている私の手に握られた手紙。

小さく深呼吸をしてから海璃が
「この手紙は大阪から京香が戻ってきたらここでブリブリにやぶって燃やすからな」
と言いながら受け取ってくれた。

「そんなことするの?それは私から海璃へのラブレターなのに」
私から手紙を受け取って、すぐにポケットへ入れる海璃。
「ラブレターって。なんだよ。お前。」
と、やるせない気持ちでぶっきらぼうになる海璃の腕に私は手を絡ませて、景色を見つめた。
その手を離す海璃に少し不安になると、海璃は私を後ろから抱きしめた。

強く強く。