「行きたいところがあるの」
「どこ?」
「ほら、初めてのデートで言ったオムライスがおいしかったお店」
「あー。しばらく行ってないな。そういえば」
「うん。あそこに行きたい。」
「了解。」
私たちは離れることを少し惜しみながら、許される限り抱きしめあっていた。

海璃も私が何を考えているか、すでにわかっているのかもしれない。

それでも、聞かないでいてくれているのは、きっと私から言うのを待ってくれているのだろうと思う。

私の覚悟を、後押しするために。

渋々布団から出た海璃を仕事に送り出してから、私は手紙を書き始めた。