何とか海璃が帰宅する前にソファから立ち上がり、私は夕飯の支度を済ませた。

「ただいま」
いつも通り夜になり帰宅した海璃。
「おかえり」
海璃の姿を直視できず、私はキッチンで手を動かしながら海璃に伝えた。
「体調悪いのか?」

私の気持ちも知らずに、海璃は帰宅して手を洗うとすぐに私の元へ来た。
「うんん」
必死に繕い、頬の筋肉を動かす。
「だって、メール返さなかったじゃん。返信内から電話もしたのに。」
「ごめん、寝ちゃってたの。ごめんね」
「・・・ならいいけど。あとは俺やるから座ってろよ。」
本当は連絡に気づいていてもなんて返したらいいか分からなかったから気づかないふりをしただけ。
「先に着替えてきて?あと荷造りしないとでしょ?大丈夫。今日はいっぱい寝たから。」
私の言葉に、海璃は私の顔を覗き込むようにしてから「そうか?」と寝室に着替えに向かった。

海璃と少し距離が離れて、小さく息を吐く。

心が痛んで仕方なかった・・・。