天の川にネガイゴトを

――ねぇ、アルファルド。アルファルドって星の名前なんだけど……どういう意味か分かる?

どこからともなくヴィアの声が聞こえる。

――アルファルドっていうのは、アラビア語で『孤独なもの』を意味してるんだ。

どこからともなくノヴァの声が聞こえる。

『だからさ、アルファルドの呼び方を決めよう。孤独にならないように』

2人の声が重なる。俺の頭に、まだ思い出したことのない記憶が流れ出した――。



あぁ、そうだった。俺がノヴァとヴィアと出会ったのは、高校2年生の頃だっけ。その頃の俺は、とにかく人を信頼できなかったし、今とは逆で、魔力も強かった。

毎日のように両親から殴られたりされてたストレスから逃れるために、不良と喧嘩をする毎日だったっけ。

『あ!お兄さん、大丈夫?』

珍しく喧嘩で怪我した俺が道を歩いていた時に、たまたまノヴァに声をかけれたんだ。

『俺に構うな!放っといたら、怪我なんて治るんだ』

『そうかもね。でも、僕は放っておくことは出来ない』

そう言って、ノヴァは見ず知らずの俺の治療をしてくれたんだ。

誰かに、ここまで優しくされるのは初めてで、何を言ったら良いのか分からなくなった俺に、ノヴァは『こういう時はね、『ありがとう』っていうの』って言ってくれた。

『……あ、ありが……と』