天の川にネガイゴトを

「ゆ、許してください……」

じゃあ、思う存分殴ってやろうかな?……でも……。

「……なら、この場から立ち去れ。お前の顔を見てるだけで、反吐が出る」

俺は、そう言ってナイフを捨てた。あれ?おかしいな?一瞬、殴るのをためらった?いつもなら、普通に殴れるのに。

何かの魔法が、行動するのを拒んでるみたいに感じる。

「……ちっ。分かったら、さっさと立ち去れよ。あいつに二度と手を出すな!」

……違う。魔法なんかじゃない。俺自身が、拒んでるんだ。……一体なんで?

舌打ちをしてから、未だに腰を抜かしてる男性にそう言うと、逃げるように男性は逃げていった。

「……お前、大丈夫か?」

座り込んでる男の子に話しかけると、男の子は怖かったのか泣き出す。俺は「もう大丈夫だ」と男の子の頭を撫でた。

何かがぶつかる音が聞こえる。俺が音をした方を見ると、ノヴァとヴィアがじっと俺を見ていた。

「……ノヴァ、ヴィア。俺、思い出したよ。理由は分からないけど誰も俺を見てくれなかったこと、両親から殴られてたこと全部!」

「……」

俺の言葉に、ノヴァとヴィアは黙り込む。

「……いい加減に思い出せよ……他にも思い出さなきゃいけないことがあるでしょ!アルファルド!!」