「だ、誰!?ルトって、俺の名前だよな!?何で知ってるんだ?」

痛む頭を押さえながら、俺は言うけど、2人は、無言で俺を見てるだけだ。

「そ、そもそも……っ!」

「ルト、落ち着いて。僕らは、敵じゃない」

青髪くんが、俺の頬に手を添える。一瞬だけ体が震えたけど、何だか懐かしい感じがした。

「……じゃあ、改めて自己紹介するよ」

俺から手を離し、青髪くんはじっと俺を見つめる。

「僕は、ノヴァ。こっちは、僕の双子の妹のヴィア」

そう言って、ノヴァは笑う。ノヴァにヴィア?……懐かしい。何で心が暖かくなるんだろ……?

そっと胸に手を当ててみるけど、理由は分からないままだった。

「……俺の事、知ってるみたいだけど……記憶が無くなる前の俺ってどんな感じだったの?」

「んとね、ちょっと話した感じだと、前と変わってないかな」

少し暗そうな顔をして、ヴィアは言った。……前と変わってないのに、何で暗そうな顔をしてんの?

ヴィアの表情に疑問を抱くけど、何故か聞くことが出来ない。まるで、魔法で拒まれているような……。

「ノヴァ!そろそろ行かないとまずいんじゃない!?」

「あ!ホントだ!ごめんね、ルト。また後で」

ヴィアの言葉に、ノヴァは焦りだした。そして、俺に背を向けて走り出す。