夏休みに入って バイト以外の時間

俺は 全部 麻里絵と過ごしていた。

バイトも シフトを合わせていたから。

ほぼ毎日 一緒にいたことになる。


花火大会や プールにも行き。

季節が 一回りしたことを 嬉しく思いながら。


俺の心の どこかに 隙ができていたのかもしれない。


お盆の お墓参りに 行きたいという麻里絵は

俺が 帰省しないことを 気にしていた。


「祐一君 1人で 寂しくない?」

「そりゃ 寂しいけど。大丈夫だよ。バイト頑張って 待っているから。まりは 気にしないで 帰っていいよ。」

「うーん。なんか 気が退けるなぁ。」

そんな事を 言いながら 麻里絵は 実家に帰った。


新幹線のホームまで 見送る俺に

寂しそうな目を 向けた。

「たった4日だよ。帰りは また 迎えに来るから。時間がわかったら 連絡してね。」


あの時 無理やり 麻里絵を 連れ戻していたら。


せめて あと1日 帰る日を 遅らせていたら。


後になって どれだけ思っても 戻れない。


新幹線の窓から 手を振っていた 麻里絵の

寂しそうな笑顔が ずっと心から 消えない。