脱いだ服を 片付けないとか。

ゴミの分別が 間違っているとか。


細かいことで 麻里絵に怒られて。

拗ねた俺が 口を きかないとか。


そんな小さな喧嘩は あったけど。

それだって いつも麻里絵は 折れてくれた。


「祐一君。機嫌直して。私の言い方 悪かったから。次は もっと 優しく言うから。」

「次はって。まりは 俺が またやると思っているんだ。」

口をきいた俺に 麻里絵は 満面の笑顔になって。


「うん。絶対 やる。」

そんな麻里絵を 俺は 抱き締めてしまう。


「まり。ごめん。自分が悪いの わかってるのに。」

「いいよ。祐一君が わかってること 私も わかってるもん。」


まだ大学生で 生活力もないから。

結婚とか 具体的には 言えなかったけど。


このまま ずっと麻里絵と一緒にいることを

俺は 全く 疑っていなかった。


多分 麻里絵も。