今年も梅雨が明けて、じめじめとした暑さが私の体をだるくさせる
「では、今日で一学期が終わります。夏休みは羽目を外しすぎないように」
一学期最後の授業も終わり、帰る支度を進めていると、幼馴染の花川 渚が私に声をかけてきた
「ねえ望結(みゆ)、今日カラオケ行かない?宏(ひろし)と学(まなぶ)も一緒だよ」
ボーイッシュなショートヘアに、少し焼けた肌が似合う渚は、とにかく歌うことが好きで、何かにつけて私をカラオケに連れて行こうとする。
普段なら断っていたが、私の好きな人でもある宏がいるなら行こうと思った。
「もう、仕方ないなぁ。わかったよ。」
わざとらしくため息をついて返事をすると、渚は嬉しそうに手を取って私を引っ張っる
「やったー!望結とカラオケ行くの久しぶりだ~!今日は歌ってよ~?」
正直私はあまりカラオケが好きじゃない。
元カレに音痴と言われてから歌うことが怖くなってしまった
「い、一曲だけね...あと渚、痛いよ..」
あまり強い力で私を引っ張るので、腕が痛み出した。
おとなしい私とは裏腹に、渚はエネルギッシュで元気いっぱいだ
どこからそんな元気が出せるのか...
_そこが渚のいいところなんだけどね_
そんなことをぼーっと考えながら校門を出ると、すでに同級生の幸田 宏と進藤 学が話して待っていた
「お待たせ~!望結連れてきたよ!」
二人に向かって頭を下げると二人はこっちを向いて笑顔で話しかけてきた
「お、来たな。ちょうどいいところに来たね~」
「宏、とりあえず向かいながら話そうよ」
頭の中にはてなマークが浮かんだが、とりあえず私たちはカラオケに向かって歩き始めた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
歩き始めて五分ほどたったころ、宏がさっきの話をし始めた
「最近この辺で話題になってる噂、知ってるか?」
「噂?」
「この辺に神社あるだろ?その神社にあるある人形の名前を知ったら死ぬらしいぜ。」
蒸し暑いはずなのに、背筋が凍る感覚がした。
宏は昔から怖い話が好きで、冗談で怖い話を持ってきて私を怖がらせる..
しかし今回は冗談な感じの空気はせず、真剣に話しているような感じだった。

「昔名前を知った神主三人が全員怪死したらしくてな...」

「どんな死に方?」と渚が興味津々で聞くと、声のトーンを落として話し始めた

「両腕と両足が逆方向に曲がって、腹が引き裂かれてたらしい。んで決まって口の中におはじきが詰め込まれてるんだってさ。」

「呪いが存在してるんじゃないかって思わせるような噂だよね。まぁ本当だとは信じがたい話だけどね」

学は昔からオカルトチックな話は信じない。その点では私と気が合うところがあるのかもしれない
「はいっ、望結が怖がるからこの話は終わり!私最近さ~」