どうしよう
ナオフミさんが危害を加えられたりしたら

でも、案内しないわけにはいかない
だったらもうこうなったら私も様子を見に行こう


『日詠医師の診察室はこちらです。』

「は、ハイ!!!」


なぜか緊張し始めたその人。
私まで緊張してしまうけれど、ちゃんとご案内しなくてはと気を引き締め、日詠医師の診察室のドアをノックした。


「はい、どうぞ。」


受付からナオフミさんに電話連絡されていたのか、ノックした人の確認をしないまますぐに入室が許可された。


『失礼します・・・』
「澪ちゃん、芽衣、無事か?!!!!!!そいつに何かされてないか?」


私がドアを開けた瞬間、背後から身を乗り出し、大声でそう叫んだその人。


「パパ!!!!」

「こんなとこまで押しかけるなんて・・・」


娘さんらしき声と怒りがこもったその人の奥さんらしき声が返ってくる。
ナオフミさんはというと驚いた表情でこっちを見ている。


「あ~、やっぱりそいつだよ!!!!」

『えっ?』


そいつって
この人とナオフミさん、過去に顔を合わせたことがあったの?
知り合い?


「澪ちゃんをホテルに連れ込んだ男!!!!」

「・・・藤崎。」


ナオフミさんを指差しながら大声で叫んだ私の目の前に出てきた男の人。
その人を藤崎と低い声で呼び、鋭い視線で睨んでいるのは、どうやらその人のお嫁さんみたいな女の人。
彼女は私よりも年上の、煙草が似合いそうなオトナな女性だった。