『もし・・・』
「もし?」
饒舌になっていると思っていた自分なのに言葉が出ない。
もし、祐希がその事実を知ったら、祐希とナオフミさんの今の良好な関係が壊れてしまう・・・そんな気がして
『・・・・・・・・』
飲みかけの缶チューハイを手にしたまま絶句していた私の手から缶チューハイを奪い獲り、いきなり抱きしめてきたナオフミさん。
「何、悩んでる?」
『・・・それは・・・』
「言えよ。俺が答えられないかもしれない難問でもいいから。俺は伶菜がそれを言えずに、無理矢理飲み込んでしまうことのほうがしんどい。」
抱きしめてくれている彼の腕から伝わっている彼の体温と香り。
お風呂上りの今は、入浴剤で入れたラベンダーの香りがかすかに鼻をくすぐる。
そのせいもあってか、すうっと軽くなり始める私の心。
『祐希とナオフミさん・・・血の繋がりがないことを、祐希にどう伝えたらいいんだろう?』
そのせいで、ナオフミさんの言う通り、今まで彼に聞けずにいたことを無理矢理飲み込まずに彼にぶつけた。
その直後、私を抱きしめている彼の腕の力が更に強まる。
自分を責めるなよ・・・そういう気持ちが伝わるような強さで。
「・・・・難問だな。」
『・・・ごめん。やっぱり今のなしで。』
「難問だからこそ、俺に言わなきゃダメだ。」
『えっ?』
本当に自分が今、気にしていることを彼に言っていいのか
それを確認しようと、抱きしめられたまま、彼の胸の中にうずくまっていた顔を起こし、彼を見る。
「俺達は、今までも、難問をふたりで乗り越えてきただろ?これからだってそうだ。」



