本当は、いますぐにでも助けたい。

助けてっていってほしい。

それくらい真美は弱ってる。


でも、真美がいまそういえないのは、お母さんのため。

お父さんが死んじゃってからずっと女手ひとつで育ててくれたお母さんのため。


お母さんももしあいつから暴力をふるわれていたら、わたしはすぐにでも通報していたかもしれない。

警察に相談していたかもしれない。

でも違う。


すごく憎いはずなのに、あいつがもし捕まってしまえばお母さんが悲しむ。

そんな姿を真美はみたくないから。


わたしが口を挟んではいけない気がして。