ありえない。
許せない。
真美をこんなに苦しめるなんて許せない。
「わたしあいつのとこいってくる!」
わたしになにができるのかはわからない。
こうして平気で人を傷つけるくらいだから、殴られるかもしれない。
でも、そんなの覚悟の上。
大事な友達をここまで追い詰めるやつを、ほっとけない。
「いいの。もう」
でもとめられた。
たくさんの傷がある手で、しっかりとわたしの腕をつかんだ。
「・・・なんで」
「お父さんが死んでからね、お母さんすごい働いてくれてね、大変そうでね、全然笑わなかった、楽しそうじゃなかった。でもね、最近お母さん嬉しそうなの、楽しそうなの。あいつはね、わたしにはこんな風に暴力をふるうけど、お母さんにはすっごい優しいの。だからね、少しは感謝してる。お母さんを幸せにしてくれるなら、わたしは別にかまわないの」
こんなに震えてるくせに。怯えてるくせに。
傷ついてるくせに。
でも、真美がお母さんのこと大好きなの知ってるから、なにもいえない。
お母さんの幸せを願ってたから。



