「別になにもしてない。ただうざい。それだけ」 なんだそれ。ただの言いがかりか。 さすがに怒りが沸いたよ。 ねえ、真美。 さっき真美が倒してくれるっていったけどさ、わたしが倒してもいいかな? ぶん殴ってもいいかな? 許されるかな? 思いっきり手に力をこめた。 人を殴ったことはもちろんない。 お母さんお父さんごめんなさい。 手を振り上げた。 でも、殴れなかった。 わたしの手はすっぽりと彼の手におさまっていた。