「健人!」

「真美?」


愛鳥から借りた教科書をもって廊下を歩いていると真美が追いかけてきた。


「どうした?」

「嘘なんてつかないで普通に聞けばいいのに。なにがあったのかって」

「・・・はは。やっぱ真美にはかなわないや」


真美の言う通り、嘘。

教科書を忘れたなんてただの口実。

本当は朝傷ついた顔をしていた愛鳥のことが気になって会いにいった。


いつから、俺はこんな弱い男になったんだろう。

普通に愛鳥に会いにいくことができなくなった。

1年のときはよかった。
同じクラスならいくらでも話かけられたから。


真美だっていたからお昼だって3人で食べたし、まわりから冷やかされたってそこまで気にしなかった。