「海、いくらなんでもひどいぞ」

「いいんだよ。あいつには、なにも背負ってほしくないから」

「・・・どういうことだ?」

「あいつがこの家にきちゃったら、ばれるかもしれないだろ。あいつめっちゃ母さんに似てるし。もし変な噂がたったら、あいつが実はこの家の本当の娘だってばれたら、あいつが苦労する。それに今まで隠してきたことも公になるかもしれない。そんなの、この家にとってもあいつにとっても嬉しいことじゃないだろ」

「海・・お前、まさか」

「俺は覚悟してるよ。別に。今まで父さんのこと嫌いだって思ってたし、この家の子じゃないって知ってからだいぶ反抗もしたし。でも、もう覚悟した。俺は父さんの跡を継いで社長になる。だから、心配しないでいいよ」



あいつ、泣いてたな。

ばればれ。

でもこれでいい。

あいつは今まで通りの幸せをつかんでくれたらいい。

幼なじみの健人ってやつと、真美って子とただ笑ってくれてたら俺はそれでいい。