本当はお母さん―――飛鳥さんに挨拶したかったんだけどな。

でも仕方ない。

わたしの考えは甘かったんだ。


少しでも桐生くんの力になれると思った自分が馬鹿だった。



「失礼します」


一度大きく頭を下げてわたしはそのまま玄関まで走った。

家の中を走るなんて失礼だと思いながらも、そうしないとつらかった。


泣き顔を、みられたくなかった。


わたしは門の外までいくとそのまま崩れ落ちて泣いた。