* 「・・・」 言葉が、なにもでてこない。 話し終えた父さんと母さんもまた、無言。 新生児の取り違え。 ううん。取り違えというより、わざと。 自分の跡取りが、孫である子が男の子であってほしいと願った、そんな勝手な欲望で。 そんな勝手な欲望のせいで、わたしと桐生くんは巻き込まれた。 わたしと桐生くんだけじゃない。 わたしの父さん、母さん、桐生くんのお父さんにも。死んでしまったお母さんにも。 全員を、苦しめている。