一瞬にしてすべてを忘れられる道具がほしい。

一瞬で傷を治せる道具がほしい。

一瞬ですべてが元通りになる道具がほしい。


それがあるのは、できるのはおとぎ話のような世界。

アニメやドラマの世界。


そう思ったら、やっぱり王子様なんてこの世の中には存在しないんだよな。

白馬にのった王子様なんて、この世には。





「じゃあ、明日学校でね」

「うん。バイバイ」


明日からこうしてまた真美と会えるんだからいいじゃないか。

健人と3人でいれればそれで。



ただそこにもう1人。

桐生くんが混ざってくれればいいなと。

そんな淡い期待をわたしは望んでいた。



―――この先起こることなんて何も知らずに。