追いかけなきゃ、その一心で走り続ける。


向かってくる北風をもろともせず、必死に足を動かす。


寒さなどとうに忘れ、顔には汗がにじみ出ていた。


あと少しだ。


もう少しで、俺はあの子に・・・。


俺は、そこで静かに立ち止まった。


どうみても別人だった。あの子の面影はどこにもない。


だいたい、学校から遠く離れたこの商店街にいるはずがない。


荒く、途切れ途切れの息は、白くかすんでいた。


どうして見間違えてしまったのだろう。


どうして追いかけてしまったのだろう。


そんなの明白だ。


俺は、あの子のことが好きすぎるのだ。


結局、諦められていないのだ。


男として本当に情けない。


そんな俺をあおるように、今年初めての雪が、街全体に降り始めた。