え?俺・・・?何だろう、後輩から生徒会の仕事を頼まれることなんて今までなかったけどなあ。


とりあえず、俺は席を立ち、扉の方に向かう。


途中で寝起きの達也が、何だ!?告白か!?なんていじってきたけどしっかり無視した。


扉を開け、廊下に出る。


俺に用があるというその後輩ちゃんを見て、俺は固まってしまった。


だってそこには、俺が恋焦がれた、あの女の子がいたから。


間違いない。


間違うはずがない。


あの時と変わらない、人形のような小さくかわいい顔に、俺はまた見とれてしまった。


「あ、あの、これお母さまに頼まれてネクタイをと、と、届けに来ました!!」


3年生のクラスに来て緊張しているのか、女の子は言葉を詰まらせながら、ネクタイを差し出す。


俺のネクタイを・・・この子が?


信じられない。できすぎている。


まだ俺は寝ぼけているのかと疑ってしまう。


それでも、ネクタイを受け取ってみると、微かなぬくもりと確かな感触があり、これが夢でないことはすぐにわかった。