「絶対また会える・・・」


先輩が力強く言ったその言葉を小さな声で繰り返し唱える。唱え続ける。


あれからどれくらいの時間がたったのだろうか。はっきり思い出せない。多分一時間くらいかな、そんな気がする。

先輩の姿はとっくに見えない。先輩が上って行った階段だけをずっと見つめている。


顔はもう涙でクシャクシャだ。顔中が赤く腫れあがっているのがわかる。最後はあんなに笑顔だったのにな・・・。

改札から出てくるサラリーマンが不思議そうな目で私を見て横を通り過ぎていく。ああそういえば心配で話しかけてくれた人もいたっけ。


「帰ろうかな」


温もりを失った手と、疲れ切った足で私は歩き出す。まるで自分じゃない誰かを動かしているような感覚。


それでも私は歩き続ける。


沈みかけた太陽がいつもよりまぶしくて、赤くて、そして濡れていた・・・。