…だって、ほら。 「ひとりで帰れる?」 事が済めば、もう私のことなんか視界にも入れようとしない。 ボクサーパンツだけを身に付けている先輩はゴロンとベッドに寝転がってスマホを操作する手を止めずにそんな言葉を投げかけてくる。 小さく掠れた声で「はい」と返した私に「そ」と興味もないような声が返ってくる。 「気を付けてね」 そんな他人行儀の言葉を耳に受け止めながら、ベッドの下で丸まっていたワンピースを取ろうと伸ばした手は、情けないほどに震えていた。 涙すらも、出てこなかった。