だれよりも近くて遠い君へ






それからしばらく、私たちは何も言わずにいた。



向かいあっておくのはどうにも、気恥ずかしくて、さくの背中に身体を預けるようになる。


満たされないさみしさを、私は誤魔化すみたいに、背中の体温に浸る。


「ねぇさく?こうしてるとさ、小さい頃のこと、思い出さない?二人でさ、遠くの公園まで行ってさー?」

「そのまま帰れなくなって、ギャン泣きしたな」

「そうそう!ってそこじゃなくてー」

「あぁ、春が泥だらけで鼻水垂らしてたことか」

「ちがーう!ってか、そもそもなんで遠くの公園まで二人で行こうとしたんだっけ」

「まさかお前、覚えてないとか言わないよな?」

背中の温度がパッと離れていく。
顔をのぞき込んでくる。
驚いたように見開かれた目、まじかって小声でゆってる。