だれよりも近くて遠い君へ

「さく?どうしたの、痛いよー」

背中をトントン叩くとやっと離してもらえた。
でも近すぎるくらい近くに居る。

手を握って来て、コツンと額を合わせてくる。
目は合わない。前髪が邪魔だね。

「春には俺がいるだろ、大丈夫だ……一人になんて俺がさせない」

「いいんだよ、もう離れたって」

心にもない言葉が溢れる。
いや、心の中にはずっとあった言葉だ。

「な…に言ってんだ……?」

つらそうだね。その瞳、何か葛藤してるみたいで見てられない。

「一人でも大丈夫なの。だって私だよ?さくの負担にならなくても大丈夫なの」

一人にしないで。まだ隣にいて。寂しいんだよ。

どっかに行ってほしい。関わらないで。一人で平気。

相反する気持ちでいっぱいなのは、あんな夢を見たから。
こんなにぐちゃぐちゃで自分がわからないのは、
きっと、寝起きだからだよ。

しっかり起きてたらちゃんと心の底から、拒めたのに。

「ふざけんな…お前はなんで毎回無理して笑うんだよ。なんで俺を頼らねぇんだよ。ずっと一緒に居たのにそんなに信用出来ねぇのか、そばにいることさえも嫌なのかよ」