それから毎週先生に勉強を教えてもらい、先生が私の家まで送ってくれた。

ある夏のこと。

講義が終わっていつものように先生と自習室へ向かおうとすると、私と同い年の女子たちが先生の所へやってきた。

女「先生!ここ分からないんで教えてください!」
女「私も分からないんです!」
女「ずーるーい!私も!」

先生は一気に女子たちに囲まれる。

どうしようかと困っていると、高校一年生の数学を担当していて、山本先生がやってきた。

山「あ!中野先生、大丈夫ですよ、俺がやっと来ます!」
先「あ、うん、わかった」

そう言って中野先生は女子たちと自習室へ向かっていった。

山「えーと、山本 光樹(やまもと こうき)です!一応数学の担任してるから中野先生ほど上手には教えられないかもだけどよろしく!」
琴「あ、はい…」

山本先生は中野先生と並ぶくらいに教え方が上手だった。

自習室は壁も仕切りもなく、最大6人が座れる大きさの机が四つ、整然と並べられている。

そして、答え合わせをしてもらおうとしたところだった。

山「あ、赤ペン忘れちゃった。ちょっと取りに行くね〜」

そう言って山本先生は事務室に入っていく。

山本先生を見送ったら、女子たちに問題を教え終わった中野先生がいた。

何故か分からないが、先生は私のことをすごく睨んでいた。

琴「ちょっと、なんでそんなに睨んでるんですか…」
先「なんで山本先生に教えて貰ってんの」
琴「いや、だって先生他の子達に囲まれてたし…」
先「ふーん」

先生はそのまま事務室へ入っていく。

ほんと何。

どうしてもこの先生だけは好きになれない。

嫌いな訳では無い。

勉強の教え方も上手いし、先生のおかげで数学の偏差値が安定してきた。

でも。


どうしても性格が好きになれない。