?「片倉さん」
琴「はい?」

振り返ると後ろに例の先生がいた。

琴「…なんですか」
先「テストの結果悪かったね」
琴「え、まあ、はい」
先「ということで今日から毎週居残りね」
琴「えっ!」
先「はい、自習室の椅子座ってー」
琴「は、はあっ!?」

私は先生の言われるがままに自習室の椅子に座って筆記用具をだす。

先「まず今日の実力テストの直しから」
琴「は、はい…」

それから1時間ほどたった頃。

先「よし!じゃあ今日はこれで終わり!どこら辺に住んでるの?」
琴「あーあのここの窓から見えるピンクのマンションですけど…」
先「あ、俺と一緒の方面じゃん」
琴「あ、そうなんですか…」
先「じゃあ入口で待っといて」
琴「は?」
先「なに、暇だから一緒に帰ろうと思って帰る準備するからちょっとまって」
琴「え、まあ、はい…」

何を言い出すんだ。

きっと先生の虜になっている女の子は沢山いるに違いない。

なのに何故私と一緒に帰るとか言い出すんだ。

筆記用具をカバンの中に入れて、入口で待っていると、先生がやってきた。

先生がエレベーターのボタンを押す。

先「彼氏はいる?」
琴「は?」
先「彼氏はいるのかって聞いてんの」
琴「え、いや、別にいませんけど…」
先「好きな人とかは?」
琴「いや、居ないです…てか、何聞いてるんですか!」
先「ふーん」
琴「先生から聞いたくせになんでそんなに興味無さそうなんですか!」

エレベーターに乗る。

先「俺への質問は?」
琴「は?いや、別に先生に興味無いんですけど…」
先「しょうがないなあ俺が自分で質問して自分で答えるよ」
琴「あ、は、はい…」
先「先生の名前は中野 樹(なかの いつき)!」
琴「は、はい…」

何この先生。

エレベーターから降りて、ビルから出る。

先「大学3年生でこれはアルバイトでやってる」
琴「はあ、そうですか…」
先「何その興味無さそうな顔。」
琴「だから興味ないって言ってるじゃないですか…」
先「これからお前のこと琴音って呼ぶね」
琴「え、なんでですか…」
先「いいじゃん別に」
琴「べ、別にいいですけど…」

それから最近話題になっている空き巣事件のことについて話して、私の家に着いた。

先「じゃあばいばい」

そう言って先生はさっき私たちが歩いてきた道をまた歩いていく。

琴「え、先生こっち方面って言ってませんでした?」
先「しーらね」

先生は振り返らないままそのまま進んでいく。

何この先生。

ほんとよくわかんない。

そのままマンションのエレベーターに乗り、自分の部屋に帰った。