「夏野市の学校から転校してきた、高槻絢音です。よろしくお願いします」
 私は小さく一礼する。
「…さて、今年高槻さんは2年生だ。そして、この学校で行っている“転入試験”を史上最高得点でパスした」
 え、嘘…今それ言う?
 唖然としてため息をつく。
 一方、生徒の皆々様はざわっと。
「……話を聞けぇい」
 いや、自分がここで言ったのが悪いのでは。
「……先を続けてください」
「彼女はその中でも、作詞の能力に長けている。そこで、彼女には───フェスの課題曲を作ってもらおうと思う」
 再び、ざわっと。
「……はい?何ですか、それ。ってゆーかどゆこと?!」
「まあ、おいおい話す。…しかし、彼女1人では曲は完成しない…ということで、渥美(あつみ)。出てきてくれ」
 三度、ざわっと。
「え、僕?」
「え、男子……?!」
 やっ、嫌だッ!
 すみません無理です、辞退させてぇぇっ(涙)
 私はそぉぉっ、とステージに上がってきた男子から離れる。
「この2人に協力してもらって、曲を作ってもらおうと思う」
「「……は?」」
 なに、コイツと?
 ろくに名前も知らないのに??
 第一私、男となんて協力できないのにぃ?!
「……、君さ」
「君、って名前じゃないし…」
「高槻さん?僕はあなたと仲良くする気はないので」
「なっ…」
 見た目優男のクセに…なにコイツ?!
「こっちこそ、アンタと仲良くなんてする訳ないし…!」
 するかよ、こっちから願い下げだっての!!
「アンタじゃない。渥美朔葉」
「……さくは?」
 文字変換ができん…。
「ん?君が下で呼ぶんなら、僕も──」
「はあっ?気安く呼ぶなッ、渥美!!」
 何だよもう…デコボコすぎか。