守りたい日常




『おいてきてよかったの?』


腕を引かれながら、佐倉紘に声をかける。


「お姉さんが心配することじゃないよ。
 巻き込んでごめんね、怖かったでしょ。」


『・・・大丈夫だよ。どうってことない。』


情報屋なんてしてれば、頻繁にあんなこと、起こりうる。


私が油断したのが悪かったんだ。



むしろ謝るべきは油断していた私だ。


「不安そうな顔してるけど、心配?」


不安?私が?

うーん、たしかに、らーくんのことは少し心配かもしれない


けがでもして、入院なんてなったら私はどうやって生活すればいいんだろう・・・。



「心配なら帰ってくるの一緒にまてばいいよ。
 こんな不安な顔したまま開放して、さっきのところにまた行かれると面倒だし。」


『分かった。そうさせてもらうね。』



明らかに、この人が思ってる方向とは別の方向の心配をしているけれど、まあいっか。


このまま腕をひかれ、公園へついた。


ここに来るまでに、いろんな人にじろじろ見られた・・・。


人の目って苦手なんだよね。特に好奇心の目は。


嫉妬、好奇心、憧れ、蔑み・・・。


風魔の管轄でないここで、これだけの視点を集める様子から、風魔の影響力を感じた。



「無事に終わったよー。」
「ただいま。」



二人が公園に入ってきた。

けがらしいけがは見当たらない。よかった。


ほっとしたのもつかの間


ーーーガシッ


『いったああああい!!なにするのらーくん!』


「なんで逃げずに見てたんですか!危ないじゃないですか!!」



らーくんに頭をつかまれた。

イタイイタイ

頭がミシミシいってる・・・。



『頭われちゃうでしょ!
 もっと丁寧に扱ってよ!』


「うるさいですね!あしたの夜ご飯、全部しいたけにしますよ!」


『すみませんでした!!!!!」


全部シイタケなんて・・・。鬼だ・・・。


しいたけ嫌いなんだよおお!


「ぷ・・・あはははは!
 お前そんなキャラだったか?香楽。
 やべ・・・ツボっ・・・あはは!」


「てめ、梓殺すぞ・・・。」



「ねえ、香楽、このお姉さんの名前は?」



「俺じゃなくて本人にきけよ紘。」





『初めまして、らーくんの隣人の蜂谷蜜菜(はちや みつな)です。
 いつもらーくんがお世話になってます。』

らーくんににらまれる


いつもお世話になってるのは私なのに、こうやって言われるのが気に入らないのだろう。



『みんなはらーくんの学校のお友達?』


「そうだよ。みんな同じ学校の同じクラス。」


『たのしそうだね~』


いいなあ。


らーくんと同じ学校。

すごく楽しそう。


「蜜菜さん、仕事見つかったの?」


不意にらーくんが訪ねてくる。


でも私は聞いていない。


『んー、決めた。』



らーくんが着てる制服は、青稜高校のもの。


そこに編入しよう!





『今日はありがとうございました。
 〈また〉会いましょうね!』