私も彼も特にお喋りなタイプでは無く、ぽつりぽつりと、静かに会話するのが常だった。

彼の指に挟まれたセブンスターのタバコ。

ゆらゆら揺れる煙はどこへ行くんだろ。
そんな事を思ってゆっくりアルコールを噛み締めていると

「どうぞ。」

と高月さんの声がした

美味しそうなサーモンのカルパッチョ!

「え、でも頼んでませんよ?」

私は食べたーい!と叫ぶ心を抑え高月さんに言った。

「サービスです。
いつも来ていただいているので」

紳士的に高月さんは微笑み他の客の注文を聞きに行ってしまった。


「美味しそ」

聖が珍しく目をキラキラさせてカルパッチョを食べようとしていた。

「好きなの?」

「うん。すき。」

私に言われた訳では無いのに無性に気恥ずかしくなるほど聖が目を輝かせてた。

「そうなんだ」

そう言えば聖のこの目久しぶりに見たな
そう思いながら私もカルパッチョに箸をのばした。