煙の中の彼



なんだかんだで色々頭では考えながらも気付けばきっちり仕事をして、定時になっていた。


「さ、帰るわよ!
やっぱり危ないかもだから今日はそのままうち来なさい。
服は私の貸してあげるから!ね?」

悠さんはほんとに面倒見が良すぎる。
こんな奥さんが欲しいなぁ、
なんて思いながら私は悠さんの言葉に甘えさせてもらう事にした。

「悠さん何食べたいですか?なんでも作っちゃいますよー今日は!」

「んんんー、チキン南蛮!あれ好きなのよねー♪
タルタルソースも作ってね!」

「了解しました!」

そんな呑気な会話をしながら私達は悠さんの家に帰り夕飯を囲んだ。


「んー、美味い!葵の手料理好きー♡」

「それはそれは、光栄です〜」

チキン南蛮をつつきながら悠さんは思い出したように聞いてきた。

「そういえばさ、聖君はほんとに結婚してるのかな?」

「え?何でですか?指輪の跡の話したでしょ?
これは完全に黒ですよ。」

「んー、でもさ、金曜日朝まで絶対一緒に居るんでしょ?」

「奥さんも聖がそうゆう奴だと理解してるんじゃないですか?」

「えー、そうかなー?」
「そうですよー、」

「なんか違和感があるんだけどなぁ、私。」

「気のせいですよ、それにもう終わったことだし」

「それもそうね!」


憂鬱な月曜日は悠さんのおかげで楽しく終わる事ができた。

聖の事なんて早く忘れよう。

結婚だってしたいし、子供も欲しい。

セフレになってる時間なんて私にはもう無いんだから。