田代が舌打ちをしてあたしのスマホを奪い取るが、もう遅い。


スマホはすでに太一へメッセージを送っている。


しかし、太一がここに来れるかどうかわからなかった。


一か八か……。


あたしは奥歯を噛みしめて助手席のドアを大きく開いた。


あたしのスマホに気を取られていた田代は一瞬あっけに取られた顔をして、その後蒼白になった。


あたしは田代の体を思いっきり押して助手席から外へと突き飛ばしたのだ。


「やめろ！！」


田代の悲鳴を最後まで聞く前にドアを閉め、ロックをかけた。


剥がれたガムテープで再び目張りをしていると、外に風が吹くのがわかった。


木々が揺れて、それがこちらへと近づいてくる。