ポッキー

湊side

11月11日、土曜日。

今日は兄ちゃんも俺も実家に帰る日。

俺が先について、母さんにポッキーを渡す。

母「あーきょうポッキーの日だったわね。さすが東大生、頭の回転が早い!」

いやーこれぐらいは東大生じゃなくても思いつくんじゃない?

母「そう言えば颯と日葵ちゃん、付き合ってるのね。」
湊「あ、うん。」
母「世の中のカップルにとっては、ポッキーの日って大事な日なんじゃない?」
湊「んーまあそうかもね。」
母「颯もしっかりと日葵ちゃんと色々してるのかしら。」

何をさっきから1人で妄想しているんだ。

母「私と颯にポッキーを渡すんじゃなくて、颯と日葵に渡しといた方が良かったんじゃないの?」
湊「あーうん。」

と適当に返していると。

ピンポーン。

チャイムが鳴った。

母「お帰り!あーあらあら日葵ちゃんも居るじゃないの!」
日「あ、すみません、勝手に着いてきちゃって。」
母「いやいや逆に嬉しいわ。湊ー!日葵ちゃんも来てるわよー。」
湊「へー。」

さっきから何1人で興奮しているんだ。

日「おじゃましまーす。あ、湊じゃん。」
湊「はい湊です。」
日「めっちゃ久しぶり!何年もこの家行ってないからさー。」
湊「なんか今日ポッキーの日だから何とかで母さんめっちゃ興奮して1人だけテンション異様だけど気にしないでね。」
日「あはは。さすがにみんないる前ではしないよ…」
湊「まあ兄ちゃんのことだからしなさそうだね。」

颯side

母「颯、今日何の日かわかる?」

日葵が家の奥に進むと、母さんが急に言い出した。

颯「えーあぁポッキーの日?」
母「ピンポーン!ということで湊がポッキー買ってきたから日葵ちゃんとポッキーゲームしときなさい!私その瞬間カメラに収めとくから。」
颯「なっはぁっ?そんなこと…」
母「もうほんとに颯は照れ屋なんだからー。はい早くお昼ご飯食べましょ!」

何を考えているんだ。

カメラに収めとくとかマジで嫌なんだけど!親バカにも程があるだろ。

日葵side

どうやら今日は晩御飯にたこ焼きを食べるらしい。

だからたこ焼き器を颯くんのお母さんは用意していたらしいんだが、それが見つからなくて、今湊と2人で探している。

母「あそこの押し入れに入ってるかも!」
湊「あーはいはい。」

2人はリビングから離れていった。

颯「はい、これで2人きり。」
日「え?」
颯「ポッキー食べよ。」
日「え、ちょ、急にどうしたの。」

なんか嫌な予感がする。

颯「はい。」

そういって颯くんはポッキーを口にくわえ、早くポッキーを口にくわえてとアピールする。

いやいやいや、2人がリビングから離れたとはいえ、それは流石にないって。

颯「はーやーくー。」

こうなったら早く食べてさっさとキスして終わりにしよう。

そう思って私はポッキーを口にくわえ、さくさくとどんどん食べ進めていく。

でもいざ至近距離となるとそれはそれで緊張するわけで。

あとちょっとで唇が触れるくらいの距離で私は止まっていた。

そんなじっと見つめられても、困るんですけど?

すると颯くんがサクッとポッキーを食べる。

唇が触れる。

頭がおさえられる。

深ーいキスをする。

日「んっ…」

舌を絡められる。

日「んっ…はあっ。ちょっと、それは聞いてないんだけど!」

母「きゃー!!颯も遂にそういうことをするようになったのね!」
日・颯「は?」

すると、颯くんのお母さんリビングのドアの前に立っている。

湊「かあさーん!あったよーたこ焼き器。」

バタバタと湊が戻ってくる。

顔を赤くする私と颯くん。

ひとり興奮している颯くんのお母さん。

湊は首を傾げている。

母「湊、湊!聞いて聞いて!」
颯「あーちょっと待っていいよ湊きかなくていいから…」
湊「???」

母「はあもうイマドキの子は積極的なのね。あ!たこ焼き器みつかったの?。じゃあ今から材料用意しとくわー。」

日「こんなに颯くんのお母さんってテンション高かったっけ?」
湊「まあ親バカなところがちょっとだけあるからね。」
颯「ちょっとどころじゃないだろ!」